強誘電体測定の基礎
偏光測定の基本
分極量を直接測定することはできません。そこで、試料に三角波電圧Vを印加し、その結果生じる分極によって、さらに表面電荷を得ることができる。
ヒステリシス測定では、この表面電荷を測定します。横軸に印加電圧V、縦軸に表面電荷Qをとったグラフ(QV曲線)が描かれます。さらに、横軸の電圧Vを試料の厚さdで割って電界Eに、縦軸の表面電荷Qを電極面積Sで割って分極Pに変換する(PE曲線)。電荷Qの測定には、ズングンタワ法と仮想接地法があるが、小容量・高分解能測定には仮想接地法が適しているのは後者の理由である。
ソヤタワメソッド
測定するコンデンサ(試料)の2次側(グランド側)に基準コンデンサCrを配置します。
試料に発生した分極電荷Qの測定値は、基準コンデンサに発生した電荷Q'に対応します。
Q'は、コンデンサの一次電圧Vrを測定し、コンデンサの静電容量Crを乗じることで算出できます。Q = Q' = CrVrから、試料に発生する分極電荷を算出することができる。
この方式は設定が簡単で古くから使われていますが、基準コンデンサーに発生する電圧降下によって印加電圧に誤差が生じるという欠点があります。
例えば、小さな電圧(10Vなど)を印加した場合、基準コンデンサの一次電圧Vrは小さくなり、測定が困難になります。
バーチャルアーシング方式
虚数地QV変換方式は、ソヤタワ方式の欠点を克服したもので、現在最も広く使われている偏光測定方式である。基本的にはソヤタワ測定回路と似ていますが、基準コンデンサがオペアンプのフィードバックループに配置されているのが特徴です。
これにより、以下のような改善効果が得られます。
- 印加電圧の誤差をなくします。サンプルの2次側はグランドです。したがって、サンプルに印加される電圧はすべてサンプルに印加されます。
- 基準コンデンサに現れる電圧の増加により、電圧測定が容易になります。(基準コンデンサーの電圧降下は印加電圧の誤差にならないので、小容量のコンデンサーを基準コンデンサーとして使用することができます)。
以上のように、大容量だけでなく、薄膜・厚膜サンプルや小容量のコンデンサでも正確な測定が可能です。